ヴィドラッソ(Vidrasso)

この記事はTrick-taking games Advent Calendar 2022の18日目のために書かれたものです。トリックテイキングゲームをある程度遊んだことがある方向けに説明しています。

どんなゲーム?

プレイ人数:2人

ヴィドラッソはSean Rossさんによる2人専用のトリックテイキングゲームです。Sean Rossさんはトランプやドミノで遊べる伝統ゲーム愛好家であり、ご自身の創作ゲームも数多く公開しています(BGG Link)。ヴィドラッソのルール原文(英語)はこちらをご参照ください。

カード構成

小アルカナカードの1~9の36枚を使います。トランプデッキを使う場合、1はAのカードで代用できます。

ゲームの準備

カードを1枚ずつ引いて数字の大きいカードを引いた人がディーラーになります。ディーラーは両プレイヤーの前に5枚ずつカードを配ります。カードは裏向きに横一列に並べます。次はその列の上に表向きに5枚ずつ配ります。プレイヤーの前に並べている10枚のカードをストローマン(strawman、かかしという意味もあります、10人いるので原文ではstrawmen?)最後に両プレイヤーに手札を8枚ずつ配ります。手札はお互いに見せないようにして持ちます。ストローマンの下のカードを覗くことはできません。

カードを配ったあとは下の画像のようになります(別府さいさんのツイートから)。

ゲームの流れ

配られた手札やストローマンを使ってトリックを取り合い、最後に得点計算を行うまでの流れをラウンドと言います。どちらから300点を取るまでラウンドを繰り返します。

ラウンドの流れ

ビッド、プレゼント、カードプレイ、得点計算の順に進めます。

ビッド

ビッドでは切り札スート切り札ランクを決めます。最初のラウンドではディーラーではないプレイヤーがどちらかを決めて、相手が残った方を決めます。次のラウンドからは点数の低いプレイヤーが先にビッドを行います。点数が同じ場合は前のラウンドで2番目にビッドしたプレイヤーが先にビッドします。

切り札スート

4スートのうちのどれかを切り札スートに宣言します。切り札スートのカードは他のスートのどのカードよりも強いです。

切り札ランク

A、2~9のランクのどれかを切り札ランクに宣言します。切り札ランクを持つ4枚のカードはそのラウンドでもっとも強いカードになります。スートは元のままで変わりません(切り札スートの一部にならない)。

例)切り札スートが♠(スペード)、切り札ランクが7だとします。相手が♠2をリードして、こちらで使えるカードは♠5と♣7だけです。ヴィドラッソのルールではリードされたカードと同じスートをもっていれば出さなければならない(フォローする)ため、♠5を出します。♣7は切り札ランクですがスートは♣(クラブ)なので♠2をフォローすることはできません。

カードの強さ

ヴィドラッソのルールではランクが小さいほどより強くなります。切り札スートと切り札ランクが決まったあとのカードの強さは以下のようになります(切り札スートが♣、切り札ランクが4の例)。

(弱い)9 8 7 6 5 3 2 1 ♣9 ♣8 ♣7 ♣6 ♣5 ♣3 ♣2 ♣1 4(強い)

切り札ランクの4枚のカードは他のどのカードよりも強いです。同じトリックで出された場合は後から出された方が勝ちます。

プレゼント

手札からカードを1枚選んで裏向きに相手に渡します。渡されたカードはプレイ中は使われませんが、ラウンドの最後にプレイヤーの得点になります。カードのランクがそのまま点数になるため、弱いカードほど高い点数になります。

カードプレイ

最初のトリックではディーラーではない方のプレイヤーからリードします。手札かストローマンの表向きのカードから1枚選択して出します。ストローマンからカードが出されたらその下にある裏向けのカードはトリックの勝敗判定が終わったあとにめくられます。

相手プレイヤーはリードされたスートと同じスートをもっていたら二つの選択肢があります:
– リードスートと同じスートのカードを出します(マストフォロー)。マストフォローの義務は切り札ランクは考えず、カードに印刷されたスートだけに適用されます。
– 切り札スートか切り札ランクのカードを出します。

リードスートのカードをもっていない場合は好きなカードを一枚出します。

より強いカードを出したプレイヤーがトリックに出された2枚のカードを獲得します。ストローマンで裏向けになっているカードが見えていたらめくります。トリックの勝者が次のトリックをリードします。

得点計算

17トリックが終わったあとは得点計算に移ります。獲得したカードのランクがそのままプレイヤーの得点になります。相手からプレゼントされたカードも得点に加えます。両プレイヤーは得点の合計は180点になります。

どちらかのプレイヤーが300点に到達したらゲームに勝ちます。より長く遊びたい場合は500点を目指してラウンドを繰り返します。

気が早い宣伝

Sean Rossさんの名作カードゲームHaggisがPortland Game Collectiveから出版されます。2人でも遊べる大富豪として私も大好きなゲームで、長い間入手困難な状態でしたのでとてもうれしいニュースです。別府さいさんがアートワークを担当し、プレイ人数も3人より増える予定とのことですので楽しみです。

今年はボードゲームを遊べる機会も少し増えてきて、久しぶりに旅行に行くこともできました。来年はより楽しい一年になることを願って、みなさんに会えるのを楽しみにしています。

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